SURFER’S HOUSE DAYS
SURFER’S HOUSE DAYS
〜波の音で目覚める朝〜
朝6時。潮の香りと、リズムのように響く波の音が窓辺に届く。
天井に揺れるヤシの葉の影。柔らかな光が、白い壁を少しずつ照らしていく。
隣では、彼女が静かに眠っている。
ゆっくりとした寝息。腕のあいだからのぞく髪が、朝の光にやわらかく透けている。
キッチンで湯を沸かし、コーヒーを淹れる。
デッキへ出ると、木の床が朝の空気でひんやりとしている。
波は穏やかで、空にはまだ誰もいないような静けさが漂っている。
背後でドアが静かに開く音。
彼女が眠たげな目でこちらに歩いてくる。
言葉はなくても、カップをそっと差し出すだけで気持ちは通じる。
サーフボードを抱えて砂浜へ向かうと、彼女も後ろからついてくる。
小さな足あとが並んでいく。裸足のまま、波打ち際で立ち止まる姿が、朝の光の中に浮かんでいる。
波に数本乗り、体の奥がゆっくりと目を覚ましていく。
家へ戻ると、デッキに朝食の準備が並べられていた。
湯気の立つ皿、切りたての果物。グラスの水滴が陽にきらめいている。
彼女の背中越しに、海がきらきらと光っている。
午後は庭で過ごす。
流木で作った棚に、彼女が並べたシーグラスが光を受けてきらめく。
ラジオから流れる音楽に合わせて、鼻歌が聞こえる。
夕暮れになると、空がやわらかく染まりはじめる。
彼女が火を灯す。小さなグリルから、香ばしい匂いが立ちのぼる。
静かな音楽と、波の音だけが辺りに広がっていく。
サーファーズハウスで過ごす日々。
自然と共に、彼女と共に、ただ静かに流れる時間。
ここにあるのは、派手なものではないけれど、確かであたたかい暮らしの輪郭。